インターネットリサーチ 質問設計のコツ②

今回は、質問を作成する際に気を付けるべき点や、トピックを記載します。


■リサーチャーが気を付けるべき点


・1つの設問に2つ以上の意味を含めない


たまに見る誤った設問として、「当社の製品は信頼ができ、便利な製品だと思いますか?」というものがあります。

「信頼」と「便利」は本来別の言葉であるため、設問を分けるか、一緒に聞く場合でもすべての組み合わせを網羅する必要があります。

一緒に聞く場合では、、「信頼がある」/「信頼なし」×「便利」/「便利ではない」の4つを用意する形です。


・質問数は、回答者が疲れない程度に設定


質問数が多くなると、回答者もてきとうに回答する割合が高くなります。

質問設計をし終わったら、自分でも実際回答をしてみて、疲れた/飽きたなーとおもう8割程度に質問数を抑える方が無難です。回答者はもっと回答する意欲が低いため、早々に飽きる可能性があります。また、本当に重要な設問は前半に聞く方が良いです。

 

実際に自分で回答してみると分かりますが、調査委託会社が推奨する質問数の上限は、かなり量が多いように感じます。質問数は5件刻みで料金が変わるため、ある程度売上をあげるために上限を設定しているのでは?との勘繰りもあるため、基本的には自分が実際に回答をした際の、回答負荷から決めています。


・質問の順番によるバイアスを防ぐ


例えば、「パソコンメーカーといえば?」という想起を聞く場合、その設問の1つ前の設問に、「あなたが使っているパソコンを選択してください⇒選択肢:NEC、Lenovo、Dell etc」と聞いてしまうと、その時点で、メーカー名を認識しまいバイアスがかかります。心理学の先行研究においても、直前に提示された情報によって、その後の回答内容が変わってしまう事は証明されるため、バイアスをかけたくない設問は先に聞くなどの、バイアスを可能な限り考慮した方が良いです。


・回答の誤差を減らすため、ランダム設定を有効活用する


回答者は疲れてくると、最初の設問や手前の設問を選択しやすい傾向にあります。そのため、選択肢は基本的にはランダム設定をかけておき、回答者それぞれによって、選択肢の並び順が変わるようにしておきます。

(ただし、7件法:非常にそう思う~まったくそう思わないといった順序がついたものや

カテゴリ毎の並び自体に意味があるものはランダム設定はできません)


これにより、てきとうに回答する割合を一定にし、実際の傾向をあぶりだすことができます。ランダム設定は紙アンケートでは実施が難しいため、ウェブアンケートの場合のみ実施できます。

以前、同じ設問で「ランダム設定なし」、と「ランダム設定済み」でアンケートをしたことがありますが、結果は大きく変わっていました。疲れた回答者が手前の選択肢のみを選んでおり、読み取れる情報も変わってしまいました。


・回答負荷を下げる方法を、出来る限り検討する


回答者にとって、回答がめんどくさくならないように、工夫が必要です。

「選択肢は1画面におさまるようにする」、「設問の文章はできるだけ短くする」、

「ハイライトを使う」等、視覚的にすぐに理解できるようにします。

人の短期記憶は7±2という説もあるため(ミラーの実験)、選択肢数の数も、可能な限り少なくした方が無難です。


・フリーコメントによる設問を活用する


用意した/思いつく選択肢では、どうも本当のニーズが拾えているかわからない場合は、フリーコメントでの情報収集を利用します。ただ、回収する予定のサンプルサイズが大きい場合は、集計もそれなりに大変なため、設ける場所は限定した方が良いです。

調査委託会社の集計サービスで、コーディング(アフターコーディング)を利用することも可能です。※フリーコメントを頻出ワード等から分類してくれる集計サービスです。


以上です。

他にも工夫されている方がいらっしゃいましたら、コメント頂けると嬉しいです。


事業会社勤務 リサーチ担当者のblog

事業会社(とある上場企業のメーカー)勤務のマーケティングリサーチ担当者の視点から、現場で役立つ調査やデータ分析のノウハウを紹介

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