インターネットリサーチ 質問設計のコツ①
インターネット上のアンケートを用いた定量調査を行う際、どのように質問を作成すれば良いか迷うことがあります。今回は、質問設計を行う際に気を付けるべき点や、トピックを記載しました。
■リサーチャーが気を付けるべきこと
~全体設計~
・全体設計については、(我流ですが…)質問フォーマットを利用することをお勧めします。
まず、調査の設計を行う際には、「具体的な仮説」と「調査からのアクション」が重要であると述べましたが、それらが既に決まった上で質問を作成します。私は下記のフォーマットをいつも利用しており、こちらをもとに調査委託会社の方とやり取りをします。
このフォーマットを利用することで、「仮説を検証できるような設問がきちんと組まれているか?」また、調査委託会社のリサーチャー側も質問の作成や言いまわしを変える際に、「依頼元との誤解が無いか?」を確認する事ができます。これによりまずは全体設計を固めます。
・適切な分析軸を設定する
性別、年収、職種など基礎的な軸以外は、仮説をもとに作成をします。例えば、自社が重要と定義する顧客、今後見込みがあると思われる顧客の定義、または自社が強い/弱いと感じているセグメント、今回炙り出したいテーマなどを軸として見ていきます。
この軸は具体的な仮説がしっかりしていれば、ある程度出てきますので、ここが出てこない場合は、仮説が弱いか、もしくは情報が足りないため、関係者にヒアリングをするなど、定量調査を行う前の下準備を再度行う必要があります。
・サンプルサイズ(回収する回答数)を決定する
※詳しくは別投稿で記載します。
統計的には「○○%の差を見るために、統計的な有意差が出るサンプルサイズは○○人である」という形や、「誤差を○○%まで許容する~」といった前提を設けると算出はできますが、一部想定が必要な部分があるため、あまり利用していません。また、結果をプレゼンする際に、説明を聞いた側も理解できないケースが多いです。
そのため、私が普段のリサーチでサンプルサイズを決めるときは、結果を見る側の視点に立った判断として、「分析したい軸毎に100ss(もしくは50ss以上)ずつ集まっているか?」から判断しています。例えば、性×年代で分析をした際、2軸(30代、男性)で切った場合でも、そのセグメントで100ss集まる想定になっているか?からサンプルサイズを決めています。
今まで経験したケースでは(統計的には全く正しくないのですが…)、例えばあるセグメントの回答数が30人程度だった場合、聞き手側は「30人の回答だからなー」といった先入観から、結果を聞き入れない人もいます。本来は検定すると30人程度の人数でも実際に差が出てくるかもしれません。
ただ、ここは聞き手側の印象を優先して、各セグメントで100人集まれば大丈夫だろう~というところから設定している形です。
※科学的な検証が必要なリサーチ、アドテク等の分野、少ない比率の差もきちんと見ないといけない分野では、統計的な有意差から、きちんとサンプルサイズを決めた方が望ましいですが、今回は事業会社の消費者ニーズ調査程度の内容に対して、求められる精度でお話しています。
その他:差の検定をしたい場合
出てきた結果のうち、特に重要なところを検証したい場合についてのみ、後で差の検定を行います。
例えば「Aセグメント と Bセグメントでは、10%の回答比率の差があったが、差はあるといえるか?」という場合には、分散分析、t検定、カイ二乗検定など、Excelでも使用できる分析手法があるため、こちらを使う形になります。
以上です。
他にも工夫されている方がいらっしゃいましたら、コメント頂けると嬉しいです。
また、次回は全体設計が完成したうえでの、具体的に質問を作成する際のトピックを紹介します。
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