リサーチ結果の「お蔵入り」を減らす方法②
事業会社内のマーケティングリサーチでありがちな「お蔵入り:結果をみて、”ふ~ん”、で終わる」を減らす方法②です。
お蔵入りを防ぐには、「具体的な仮説」を設定する事が重要だと前回述べました。事業会社においては仮説が弱い調査も多く見かけるため、きちんと仮説設定ができただけでもゴールの半分ほどは達成してはいます。しかし、一番良いゴールは結果を活用して「アクション」につなげてもらうことです。良い調査結果を出した後に、アクションまで結びつけるには、色々な工夫が必要です。少しリサーチの手法とは遠いお話に感じるかもしれませんが、私が普段から気を付けている点を書きます。
■リサーチャーが、普段から気を付けておいた方が良い点
・調査の依頼元と、結果をどのように活用するのかについて、事前に同意を取っておく
-仮説があたった場合、あたらなかった場合それぞれにおいて、どのようなアクションを想定すべきかを依頼元と話をしながら、調査を進める事が重要です。ここで単なるリサーチ設計の請負になってしまうと、正しい意見が通らず、依頼元に対して「○○の活動に活用してほしい」とは言いにくい関係になってしまいます。また、単に請け負っただけですとリサーチャー側にもビジネスの知識が蓄積されません。自分もプロジェクトオーナーの一員という意識をもって、依頼元が感心するくらい、調査対象の詳細やビジネス状況を知り、そのうえでどのようなアクションが必要かを調査設計の段階で議論/同意をしておきます。
・調査の依頼元、それを取り巻くキーマンと、信頼関係を築いておく
-調査結果は時に厳しい結果を伝えることもあります。それは依頼元にとってはなかなか受け入れがたく、実行することが億劫な施策につながっている事もあります。外野であるリサーチャーからそのアクションを促すためには、普段から依頼元の人と、その周り人との人間関係を良くし、「あなたのビジネスを思って調査を行っているんだ」という信頼関係を築くことが重要です。
私の経験としては、ベタではありますが、飲み会に参加したり、定例MTGに参加する、あとは依頼元の上司と仲良くなっておくことに配慮しています。良い結果が出ても、依頼元(現場)にとって都合が悪い情報だった場合、上司や関係者に共有さえしなくなるケースもあるため、アクションを動かすための決裁ラインはおさえておく必要があります。結局良いリサーチは、良い人間関係によるところが大きいと感じています。
・調査予算の決裁権限をリサーチャー側が握っておく
-依頼元が調査予算権限を持っている組織運営ですと、リサーチャーの意見が反映しづらい場合があります。そのため、組織間の調整は必要ですが、予算権限はリサーチャー側で一括して管理しておき、「必要性が高く、仮説もしっかりしている。その結果からのアクションも明確である」といった調査に対してのみ予算を承認をする~、といったフローを確立しておきます。他部署での勝手な調査はしないよう、予算を全て一括集中する等の統制を効かせる形です。私の会社ではそのように運用しています。副次的な効果ではありますが、社内の調査結果を全て把握できるため、今まで各依頼元の手元にだけ眠っていた調査が消え、複数の調査を横断した分析なども可能になります。
しかし、予算を握った際には、リサーチャー側も官僚的にならないよう、請け負ったリサーチは依頼元以上に、その調査対象の事を詳しく知ろうとする姿勢で挑む事が大事です。
以上です。調査をうけおう側であるリサーチャーの視点に沿って書いておりますが、もし「私の会社ではこうやっている~」等の良い事例があれば、コメント欄に記入頂けると幸いです。
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